2024年8月28日 更新:PULSE Explore と PULSE Elite は2024年9月2日に価格改定されます。本記事は、値上げ後の価格を反映しています。
PlayStation5 の周辺機器として、2023年12月6日に「PULSE Explore ワイヤレスイヤホン」が、2024年2月21日には「PULSE Elite ワイヤレスヘッドセット」が発売されました。
両者に共通する特徴として挙げられるのは、「PlayStation Link」「プレーナーマグネティックドライバー」を搭載したこと。ゲーマーの求める低遅延のワイヤレス接続に、ソニーが得意とする優れた音響技術をプラスした仕様になっています。
では、「PULSE Explore」と「PULSE Elite」は、何が違うのでしょうか?
この疑問を解決するために、本記事では、PULSE Explore と PULSE Elite の共通点と相違点を詳しく解説します。最終的にどっちを選ぶべきなのかも解説するので、PS5 や PS Portal のワイヤレスオーディオを探している人はぜひ参考にしてください。

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PULSE Explore と PULSE Elite のスペック比較
PULSE Explore と PULSE Elite の基本スペックは以下の通り。
PULSE Explore(CFI-ZWE1J) | PULSE Elite(CFI-ZWH2J) | |
---|---|---|
発売 | 2023年12月6日 | 2024年2月21日 |
価格 | 34,980 円(税込) ※旧価格 29,980 円 |
22,980 円(税込) ※旧価格 18,980 円 |
サイズ | 本体:約35 × 23 × 19mm(片方) 充電ケース:約88 × 42 × 38 mm |
約217 × 154 × 109 mm |
重さ | 本体:約6.1g × 2(イヤーピース含む) 充電ケース:約 71 g |
約 347 g |
駆動方式 | プレーナーマグネティックドライバー | プレーナーマグネティックドライバー |
ドライバー口径 | 非公表 | 非公表 |
接続方法 | Bluetooth PlayStation Link |
Bluetooth PlayStation Link 3.5mm端子 |
最大通信距離 | 非公表 | 非公表 |
マイク | AIによるノイズリジェクション | AIによるノイズリジェクション |
稼働時間 | 5時間(内蔵バッテリー) 充電ケース使用時最大 10 時間 |
最大 30 時間 |
充電時間 | 本体:約40分 充電ケース:1.5時間 |
約 2.5 時間 |
付属品 | ワイヤレスイヤホン本体 充電ケース PS Link USB アダプター イヤーチップ USB ケーブル 印刷物 |
ヘッドセット本体 PS Link USB アダプター 充電フック マウンティングプレート USB ケーブル 印刷物 |
PULSE Explore は、PlayStationブランド初となる完全ワイヤレスイヤホン。
PULSE Elite は、PS5 と同日に発売された「PULSE 3D」の後継機。ブームマイクが搭載されていたり、押し分けのしやすいボタン配列になっていたりと、さまざまな改良が加えられています。
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PULSE Explore と PULSE Elite の共通点
PULSE Explore と PULSE Elite に共通して搭載されている特徴的な機能は次の 3 つ。
それぞれ、どんな機能で、何ができるのかを解説します。
PlayStation Link に対応
PULSE Explore と PULSE Elite は、「Bluetooth」と「PlayStation Link」の 2 つの異なる無線通信技術に対応しています。
PlayStation Link とは、SIE(ソニー・インタラクティブエンタテインメント)がプレイステーション製品 向けに独自に開発した無線通信技術。Bluetooth に比べて音質の劣化や伝送の遅延が少ないのが最大の特徴です。
PlayStation Link で接続するには、付属の「PlayStation Link USB アダプター」を使います。これを PS5 や PC といったデバイスに挿すことで、PULSE Explore または PULSE Elite と、PlayStation Link を使った無線接続が可能になります。USB アダプターは、PULSE Explore と PULSE Elite に、それぞれ 1 つずつ付属されます。
PlayStation Portal リモートプレーヤー に関しては、PlayStation Link が本体に内蔵されているため、PS Link USBアダプターを使わずに直接の無線接続が可能です。
ちなみに、「Bluetooth」と「PlayStation Link」は、それぞれ単独で使用することも、同時に使うこともできます。これにより、スマホとは Bluetooth で接続して音楽を流しつつ、PS5 は PlayStation Link で接続してゲーム音を聞く、という使い方ができます。
プレーナーマグネティックドライバーを採用
PULSE Explore と PULSE Elite は、独自設計の「プレーナーマグネティックドライバー」を採用しています。
プレーナーマグネティックドライバーとは、フラットな形状をしている振動板を磁石で挟み、磁気の力で振動させて音を発生させるタイプのドライバー(振動板)のこと。比較的 安価なオーディオ機器に採用されている「ダイナミックドライバー」に比べ、音の歪みが少なくクリアな音が鳴らせます。
搭載されているドライバーは同じですが、PULSE Explore と PULSE Elite では 音質がまったく異なります。これはおそらく、ドライバーの口径が違うことが影響していると推察されます。
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マイクにノイズリジェクションを搭載
PULSE Explore と PULSE Elite は、マイクに「ノイズリジェクション」が搭載されています。
ノイズリジェクションとは、マイクが拾った音を即座に「声」と「周囲の雑音」に分け、周囲の雑音だけをカットし、声だけを相手に届ける AI 技術。通話中に背後で掃除機を大音量でかけられても、掃除機の音を聞こえないくらいに小さくし、口元から発せられた音声だけを相手に届けます。特にゲームをしながらのボイスチャットで活躍する機能です。
なお、周囲の雑音をカットして、イヤホンやヘッドホンから鳴る音を聞こえやすくする「ノイズキャンセリング」は、PULSE Explore も PULSE Elite も搭載されていません。周囲の雑音をカットする機能は、マイクにのみ搭載されています。
PULSE Explore と PULSE Elite の違い
PULSE Explore と PULSE Elite は基本的な性能は同じですが、機能面などで細かな違いがあります。購入の際、抑えておきたい違いは次の 8 点です。
これらの違いは購入の際の重要な判断材料になるので、しっかりチェックしておきましょう。
1. 音質
PULSE Explore と PULSE Elite で同じ楽曲を聴き比べてみると、音質が面白いほど違うことに驚きました。
PULSE Explore は、低音域から高音域まで均一にしっかり鳴っています。全体的なバランスが良く、クセのない聞きやすい音質です。PULSE Elite と比較すると特に低音域が効いているので、同じ楽曲でもベースやバスドラムが引き立ち、重厚感があります。ただし、解像度や分離感は低く、全体的に曇った(濁った)ように聞こえます。
対して PULSE Elite は、音の細かい粒が密集している感じがあり、非常に繊細でクリアな印象があります。その反面、1 音 1 音の要素(情報量)が多いためか、人によっては聞いているうちに疲れてしまうことがあるでしょう。
低音域に関しては少し物足りなさを感じるものの、中音域から高音域まではしっかり鳴っていて、パワフルで煌びやかな感じがあります。悪い部分を強調して言うならば「刺さるような軽くて乾いた音」が PULSE Elite の特徴ですが、全体としては「繊細かつ元気な音」を鳴らせるという印象です。

2. 装着感
PULSE Explore と PULSE Elite とでは、装着感(着け心地)が大きく異なります。
PULSE Explore は、イヤホン本体を耳の穴に差し込んで装着します。片耳 わずか 6.1g と非常に軽量で、ヘッドセットのような重量感、圧迫感はありません。耳へのフィット感がイマイチでも、イヤーピースを変えて調整できるのもイヤホンの良いところ。
一方で、装着時に耳の穴に差し込まなければならないので、この感覚が気持ち悪いと思う人も少なからずいるでしょう。
PULSE Elite は、ヘッドバンドを頭のてっぺんに軽く乗せ、耳全体をイヤーパッドで覆うように装着します。頭や顔との接点が多いため、装着する人の頭の形によって、合う・合わないがハッキリと分かれます。
自分の頭の大きさや形に合っていれば長時間 着けていても違和感を覚えませんが、もし合っていないと、圧迫感や痛みを感じてすぐにゲームに集中できなくなります。

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3. 携帯性
PULSE Explore と PULSE Elite は大きさが異なるので、持ち運びのしやすさに違いが生じます。外出先で使うことも考えているなら、携帯性も重視しましょう。
PULSE Explore はケースに入れて持ち運べるため、携帯性には優れています。一般的なワイヤレスイヤホンと比べると充電ケースは大きいものの、それでもヘッドセットよりは持ち運びはしやすいサイズ感です。
一方の PULSE Elite は本体がとても大きく、折りたたみができないため、カバンなどに入れて持ち運ぶのは困難です。外で使う場合、首にかけて携帯することになりますが、常に首にかけておくと肩が凝ったり、首まわりが窮屈に感じることがあります。また、装着時に目立って周囲の目が気になる、髪型が崩れてしまうなどの欠点もあります。

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4. マイクの位置
PULSE Explore と PULSE Elite には、ゲーム内のボイスチャットや、スマホなどの通話で使用するためのマイクが搭載されています。マイクの位置は、PULSE Explore と PULSE Elite では大きく異なります。
PULSE Explore のマイクはイヤホン本体、つまり「耳元」にあります。口元から大きく離れてしまうため、周囲の雑音のなかからプレイヤーの音声を拾うことが苦手です。これは PS5 本体の設定でマイク感度を上げれば解消できますが、上げ過ぎると周囲の雑音を拾ってしまうリスクがあります。
PULSE Elite のマイクは格納式になっており、使うときにだけ「口元」に引き出します。引き出した際、マイクと口の距離が近くなるため、騒がしい場所でもプレイヤーの音声を拾いやすい構造です。

5. バッテリー持ち
PULSE Explore は、内蔵バッテリーだけで最大 5 時間、充電ケースを使えばさらに最大 10 時間の再生が可能です。これはつまり、イヤホン単体だけで連続 5 時間の使用が可能で、合間に充電ケースで充電しておけば、最長で 15 時間までバッテリーが持つ、ということ。
PULSE Elite は、内蔵バッテリーだけで最大 30 時間の再生が可能です。オーディオ単体で比べると、PULSE Explore の 6 倍もバッテリーが長持ちします。5 時間以上の連続使用を想定しているなら、PULSE Elite の方が良いでしょう。

6. 充電方法
PULSE Explore は、イヤホン本体を充電ケースにセットすれば充電ができます。充電ケース自体は、PS5 など USB Type-A 端子のある機器にケーブルで接続することで充電ができます。
イヤホン本体は、約 10 分間の充電で最大 1.5 時間の再生が可能です。バッテリー残量 0 の状態から 100% になるまでは、イヤホン本体で約 40 分、充電ケースで約 1.5 時間かかります。
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PULSE Elite は、付属の充電フックを使用して充電します。
充電フックは壁掛けフックのような見た目をしており、壁に取り付けられる 構造になっています。この充電フックに USB ケーブルを接続し、フック部分に PULSE Elite を引っかけることで、収納と同時に充電ができる仕組みです。

また、充電フックを使用せず、ヘッドセット本体の USB 端子にケーブルを直接 差しての充電もできます。この方法なら、充電しながら PS5 のゲームを遊ぶことが可能です。
充電スピードは PULSE Explore よりも早く、約 10 分間の充電で最大 2 時間の再生が可能。
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7. 有線接続の有無
PULSE Explore とデバイスとの接続方法は、「Bluetooth」と「PS Link」の 2 種類です。どちらも無線通信で、デバイスと有線で接続することはできません。
PULSE Elite は、「Bluetooth」と「PS Link」の 2 つの無線接続に加えて、有線接続も可能です。市販の 4 極または 3 極の音声ケーブルを用意すれば、PS Portal をはじめとする対応機器の 3.5mm 音声端子(ステレオミニプラグ)に接続できます。
有線接続にすると Bluetooth や PS Link が使えなくなりますが、遅延や音飛びがなくなります。ヘッドセットのバッテリー残量を気にする必要もなくなります。
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8. 価格
PULSE Explore の定価は 34,980 円(税込)。対して、PULSE Elite の定価は 22,980 円(税込)です。PULSE Elite の方が 12,000 円も安くなっています。
※2024年9月2日に価格が改定されました。PULSE Explore は 29,980 円から 34,980 円に、PULSE Elite は 18,980 円から 22,980 円に値上げしています。
PULSE Elite の方が安いからと言って、性能面や音質面で劣ることはありません。値段だけで良し悪しを決めず、自分の用途にあった方を選択すると良いでしょう。
買うならどっちがおすすめ?
PULSE Explore と PULSE Elite は、装着感や使い勝手などさまざまな部分で違いがあります。どちらにも良い面、悪い面があるので、自分が使い続けやすいと思えることを基準にして選びましょう。
ここでは、PULSE Explore と PULSE Elite が、それぞれどういった人に向いているワイヤレスオーディオなのかを紹介しているので、購入の際の判断材料にしてみてください。
PULSE Explore を買うべき人
PULSE Explore は、次のようなゲーマーにおすすめです。
- ヘッドセットの装着感が苦手
- 外出先でも使用したい
- 低音が好き
PULSE Elite は一般的なヘッドセットよりもヘッドバンドが短く、その割に長さを調整するアジャスターが付いていません。装着時の側圧が強いため、頭の大きい人やメガネをかけてゲームをする人だと、強い痛みを伴うかもしれません。
ですので、一度でも「ヘッドセットの側圧が苦手」と感じたことのある人は、軽い装着感の PULSE Explore を買った方が失敗がありません。
PULSE Explore はコンパクトなので携帯しやすく、装着しても目立ちにくいので、外出先でも気軽に使えます。PULSE Elite に比べて連続 稼働時間は短いものの、こまめに充電をすればバッテリー切れに悩むこともありません。
音質に関しては、PULSE Elite よりも低音域がしっかり鳴っていて、全体的なバランスが良くクセもありません。PULSE Elite だと重厚感に物足りなさを感じてしまうことがあるので、低音が好きなら PULSE Explore をおすすめします。

PULSE Elite を買うべき人
PULSE Elite は、次のようなゲーマーにおすすめです。
- コストを抑えたい
- 解像度の高い音質が好き
- 有線無線両用で使いたい
- 頻繁にボイスチャットをする
- ヘッドセットの装着感が気にならない
解像度や分離感が高い音質が好きな人には、PULSE Elite がおすすめです。
前述の「音質の違い」で触れた通り、PULSE Explore は全体的なバランスが取れているものの、音の解像度が低いため鮮明さがありません。それに比べて PULSE Elite は、音の細かい粒が密集している感じがあり、圧倒的にクリアで繊細な音を鳴らせます。こういった音質が好きな人なら間違いなく満足できるでしょう。
格納式のマイクも使いやすいです。引き出した際に口元に届くので、騒がしい場所でもプレイヤーの音声を拾いやすい構造です。ボイチャをする人には最適です。
装着時の側圧が強いのが最大の欠点ですが、この条件さえクリアすれば、PULSE Elite はコスパ最強のヘッドセットではないでしょうか。

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まとめ
PULSE Explore と PULSE Elite の違いをまとめます。
※ 優れている方を 太字 で強調
違い | PULSE Explore | PULSE Elite |
---|---|---|
音質 | 全体的なバランスが良く クセのない聞きやすい音質 |
低音は物足りないが 解像度や分離感が高くクリアで繊細 |
装着感 | 軽い | 重い 人によって側圧を覚える |
携帯性 | ◎(コンパクトで軽量) | ×(大きくてかさ張る) |
マイク位置 | 耳元(拾いにくい) | 口元(拾いやすい) |
稼働時間 | 内蔵:最大 5 時間 充電ケース:最大 10 時間 |
内蔵:最大 30 時間 ※有線接続も可能 |
充電方法 | イヤホンを充電ケースにセット | 充電フックにセット ヘッドセットをUSBケーブル接続 |
有線接続 | 不可 | 可(有線は遅延や音飛びがない) |
価格 | 34,980 円(税込) | 22,980 円(税込) |
PULSE Explore と PULSE Elite は、どちらも PS5 や PS Portal で使えるワイヤレスオーディオです。搭載されているドライバーも同じ。また、2 機種ともマイクが搭載されているので、ボイスチャットも可能です。
ただし、価格や音質、装着感には大きな違いがあります。特にゲームプレイに大きな影響を与えるのが音質と装着感です。音質や着け心地が気に入らないと、長時間のプレイが不快になります。予算の都合もあると思いますが、音質や装着感を重視して選ぶようにしましょう。
軽い装着感なら PULSE Explore
クリアな音質が好きなら PULSE Elite